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コラム:高さ日本一の超高層ビルと巨大商業施設で変貌する「あべの」

JR・市営地下鉄・近鉄・阪堺電軌の各線が乗り入れる一大ターミナル、天王寺・大阪阿部野橋駅を中心としたエリア「あべの」は、「キタ」、「ミナミ」に次ぐ大阪第三の繁華街です。1937年(昭和12年)に前身が開業した「近鉄百貨店阿倍野本店」をはじめ、同百貨店が運営するファッションビル「Hoop」と各種専門店・カルチャーセンターが入る「あべのand」、JRの駅ビル「ステーションプラザてんのうじ」「天王寺MiO」といった大規模商業施設が近接して立ち並び、ショッピングの利便性は極めて高くなっています。

高さ日本一の超高層ビルと巨大商業施設で変貌する『あべの』

かつて大阪市天王寺区と阿倍野区の境界付近に位置する「あべの」は、明治期に開設された広大な天王寺公園のある天王寺区側とは対照的に、阿倍野区側は近鉄百貨店を除いて住宅や商店などが無秩序に混在、密集していました。

ですが、防災上の観点から、大阪市は1976(昭和51)年にあべの筋西側の通称「金塚地区」の一部について都市計画決定をし、市街地再開発事業をスタートさせました。その後、対象をこの地区の全域28ヘクタールにまで拡大し、区画の整理、道路の新設や拡幅、公園の整備、高層集合住宅の建設などが行われています。

あべのマーケットパーク キューズモール

2011年4月にオープンした「あべのマーケットパーク キューズモール」は、およそ250もの店舗が出店する大阪府下最大級のショッピングモールとなり、オープン1か月で約430万人が訪れる一大人気スポットとなりました。

また、近鉄が2007(平成19)年8月に発表した驚きの計画も世間の耳目を集めました。それは、あべの筋をはさんで東側、近鉄百貨店が入る「阿部野橋ターミナルビル」について、老朽化した旧館部分を取り壊し、高さ日本一の超高層ビルを建設するというもの。それまでに改築の意向は示していたものの、ビルの高さに言及したのは初めてのことでした。

現在、日本で最も高いビルは横浜ランドマークタワーで地上70階建ての高さ296m。これに対して新築する阿部野橋ターミナルビルのタワー館(仮称)は、 階層数こそ59階ですが、高さは約300mとそれを凌ぎます。併せて、「世界一背の高い駅ビル」としてギネス・ワールド・レコーズに登録されている名古屋 のJRセントラルタワーズを抜き去り、高さ世界一の駅ビルにもなります。その低層階が近鉄百貨店となりますが、既存の新館部分と合わせた売場面積は約10万平方メートルと、百貨店としては日本最大になる見込みです。

百貨店業界は、少子・高齢化と小売り形態の多様化で低落傾向にあるなか、生き残りをかけた合従連衡が進んでいます。店同士の競争は激しくなり、とりわけ大阪は熾烈です。大阪の都心「キタ」では2011(平成23)年にJR大阪三越伊勢丹がオープンし、大丸梅田店は改築・増床工事が完了し、リニューアルを遂げました。それらに加え、2012(平成24)年に建て替えが完了する阪急、既に改装した阪神の各百貨店がしのぎを削っています。「ミナミ」ではタカシマヤが増床工事中ですが、「キタ」の“1人勝ち”の様相が強まっていました。

近鉄百貨店阿倍野店

国内私鉄では最長の路線網を誇る近鉄にとって、「あべの」は以前本社を置いていた時代もある牙城です。これまでグループの近鉄百貨店の旗艦店である阿倍野本店に加え、「Hoop」「あべのand」を合わせた3館体制で「あべの」の商業の中核を担っています。そこに大阪のみならず、日本でも注目される巨大施設を築くことは、「キタ」と「ミナミ」に対抗して、この地の存在感を力強く示すことでしょう。

新しい阿部野橋ターミナルビルの外観デザインは、数多くの超高層建築物を手がけてきたシーザー・ペリ氏が担当。中層階にオフィスと美術館、高層階には展望室と約400室の国際的な高級ホテルの導入を検討しています。大阪南部のターミナルとしての役割だけでなく、関西国際空港に直結した海外への玄関としての機能も意識したものになります。

その注目される超高層ビルの完成予定は2014(平成26)年。その頃には「あべの」は劇的な変貌を遂げ、より大きな集客力を持つ魅力的な街として新たな時代を歩み始めることでしょう。